うっとおしい梅雨。そして蒸し暑い夏。高温多湿の環境は、カビ・ダニの繁殖条件を作りやすくします。
日頃から対策をきちんとこころがけて、カビ・ダニを寄せつけない快適な住まいを守りましょう。
●カビの発生条件
室内にカビの胞子があると、(1)栄養分、(2)酸素、(3)温度、(4)湿度 の条件がそろえばカビが発生します。
(1)栄養分
畳はもちろん、畳の上に落ちているチリなどもカビの栄養源となります。また、畳以外にも有機性の建材であればカビの栄養源となります。
(2)酸素
他の生物とおなじように、カビも生長するために酸素を必要とします。
(3)温度
カビの生長の適温は摂氏25~30度付近ですが、カビの種類によっては0度以下や40度以上でも生長が可能です。
(4)湿度
湿度がだいたい70%を超えると、カビが生長しやすい環境になります。また、湿度が高くなるほど生長できるカビの種類が増えカビの生長速度も速くなります。
●カビ対策のポイント
カビの繁殖をおさえるには、上記の条件が揃わないようにしてやる必要があります。
このうち、栄養分・酸素については取り除くことはできません。また温度についても、人の生活できる温度ではカビも生長しますので、
温度のみのコントロールではカビの発を抑えるのは難しいといえます。
ですから、湿度をコントロールすることがカビの発生を抑えるのに有効といえます。また、カビの成長にはある程度の時間が必要ですから、
カビが生長してしまう時間を与えないようにすることも大事です。
カビが生えてしまった畳
●ダニの種類
畳から見つかるダニの中で、最も多いのはチリダニの仲間です。畳だけでなく、寝具類・カーペット・フローリング床などにも生息しています。
家の中で見つかるダニの7割以上はこのチリダニの仲間です。
チリダニは人を刺すことはありませんが、虫自体、またはその糞がアレルギーを引き起こす原因物質となります。
人を刺すダニとして主なものはツメダニです。特に新しいわら床畳で多く見られます。ツメダニは前述したチリダニなどを捕食するため、
チリダニが増えだすとツメダニを発生させることになります。
●ダニの発生条件
ダニは (1)エサがあり、(2)高温多湿で、(3)隠れる場所がある と繁殖をはじめます。
ダニが生活するために必要な条件は、カビの発生条件とかなり重なります。ダニの中にはカビをエサとする種類もあるため、カビが発生しやすい場所はダニにとっても絶好環境になっているといえます。
●ダニ対策のポイント
家の中からダニを完全になくす事は、残念ながらほぼ不可能といえます。が、一定数以上に増えないようにすれば、ダニによる被害は抑えることができす。
ダニの生活条件はカビと共通点が多いので、カビ対策を施すことでダニ対策にもなると考えることができます。
日常生活の中でもできる対策としては、換気・除湿・掃除 に気を使うことです。
換気を行なうことで空気のよどみを無くし、カビの胞子の定着を防ぎ湿気を外に追い出すようにします。除湿は湿気を追い出す点では
換気と共通しますが、より積極的に行なうにはエアコンや除湿機などの機器類を使います。
掃除はダニの繁殖を抑えるために重要です。掃除を丁寧かつこまめにする事でダニやその糞の数を減らし、エサになるちりなども取り除くようにします。
また、カビの定着・生長も掃除によって防ぐ事ができます
●換気
上手な換気のコツは、空気の流れを作ってやることです。
窓が2つ以上ある場合は、一つを空気の入り口にして、少し離れた窓をあけて出口にしてやれば、その間に空気の流れを作る事ができます。
換気扇があればより有効に空気を循環させることができるので、できるだけまわす様にしましょう。
※空気の入り口になる窓は、全開にせずに少しだけ開けるようにすると、空気の流れが速くなってより効率よく換気ができます。
換気は外気の湿度が低い日・時間帯に行なうようにしましょう。晴れた日の昼間に行なうようにすると良いようです。
●除湿
換気は室内の湿気を追い出すために有効な手段ですが、長雨が続く日などのように外気の湿度が高いときは、あまり効果が得られません。
特に梅雨以降から夏にかけての蒸し暑い時期は、外気の湿度が高い日が続くことが多いです。このようなときはエアコンや除湿機を使って除湿する必要があります。
人が家の中で生活すると、炊事や洗濯などでかなりの湿気をだしています。また、人の体からも水蒸気が出ているため、これも湿度を上げる原因となります。また、熱帯魚や観葉植物など湿度を上げる原因は色々なところに潜んでいます。
湿度計を置くなどして、湿度をこまめにチェックするようにしましょう。
※家を留守にするときは、タイマーを使って2、3時間程度除湿をするようにしましょう。それまでの生活で出た湿気を取り除くことができます。特に、共働きなどで家を閉めきる機会が多いお宅では、この方法は有効です。
湿気の多い時期は、エアコンや除湿機を上手に使いましょう
●掃除
畳の部屋を掃除しやすくするために、家具の数を極力減らして、配置を考えるようにしましょう。
また、壁にぴったりとつけずに少しあけておけば、家具の裏側の掃除がしやすくなり、空気を通りやすくして湿気がこもりにくくすることができます。
・年2回程度「畳干し」をする
畳の湿気を取りのぞくためにも、年2回程度・春と秋のよく晴れた日に畳干しをしましょう。干す場所がない場合は、畳をすこし持ち上げて空き缶などで支えて風を通してやります。これだけでもかなり効果があります。
・畳の上にカーペットなどを敷かない
畳の上にカーペットや上敷きを敷くと、畳が吸収した湿気が発散できず、湿気がこもった状態になってしまいます。
・室内に洗濯物を干さない
どうしても干す場合は、浴室に干して換気扇をまわすようにしましょう。
・加湿器を過剰に使わない
冬の暖房の効いた室内では、窓や外気に接した壁側に「結露」をおこしやすくなります。
結露はカビを発生させる原因になるので、あまり湿度を上げすぎないように気をつけましょう。
まず、晴れた日の昼間などには換気、そして毎日の掃除を習慣づけるようにしましょう。
また、畳干しや、年に一度はタンスの裏などにたまったホコリなども取り除く為に大掃除をしましょう。
畳は現代住宅の中では最も自然に近い素材の一つで、住む人に快適さを与えてくれます。しかし、同じ生き物であるカビ・ダニにとっても住みやすい環境となりえます。
それならば、せめてカビ・ダニの繁殖に必要な条件を一つでも取り除くような習慣をつける事が最も有効な対策となるのではないでしょうか。